JARD計測室でのスプリアス試験
スプリアス確認保証を受けるために、自作10MHz CW QRP機をJARDに持ち込み検査を受けました。(2018-12)
ところがスプリアスがジャジャ漏れで失格と判定されてしまいました。
2倍3倍の高調波以外に、キャリア近傍にレベルの大きい不要波が数多く認められます。
スプリアスがジャジャ漏れ
さあ、トラブルシュートの開始です。
自宅のおんぼろスペアナで確認するとジャジャ漏れスプリアスが確認できます。
まずは、局発やVCOの発振状態をスペアナで確認したところ異常はなさそうです。
次にミキサーの局発注入レベルを低下させると、不要波のレベルが低下することが判りましたが、まだ規格内にまで低減することができません。
さらに、ミキサー出力にあるBPFやドライバーの出力レベルを調整して最良動作点を探ってもギリギリ規格に収まりません。
そこで外付けのBPFを取り付けることにしました。
リグ単体でスプリアスの規格をオーバーしていても、外付けフィルターを取り付けることにより規格内に入れば、OKとなることをJARD担当者から教えてもらいました。
最良点調整+自作BPF
簡単なBPFを自作し、再度ドライバーの出力レベルと内部BPFを調整し最良点を探ったところ、ギリギリ規格内に収まりそうになってきました。 自宅のスペアナは年代物のため測定精度が怪しいのですが、これで本番検査に挑むことにしました。
JARD再検査(2019-10)
JARDに自作リグを持ち込んで、再検査を受験しました。
検査項目は
・帯域外スプリアス
・スプリアス領域の不要発射
・送信出力
・占有帯域幅
の4項目です。
占有帯域幅以外は問題なく合格となりましたが、占有帯域幅がギリギリです。
実はCW専用機なので、占有帯域幅は全く気にすることもなく、自宅では測定をしていませんでした。
JARDが用意してくれたキーイング装置で短点の連続を送信すると占有帯域幅が広がることが判明しました。
(20msのON/OFF信号、40WPMのキーイングに相当)
しかし、リグ内蔵のエレキーであれば問題がありません。
どうもキーイング速度により占有帯域が広がるようで、内蔵エレキーは最速でも30WPM程度のスピードです。
スペアナをゼロスパンに設定し信号を確認すると、キーアップ時にキークリックが発生していることが判明しました。
占有帯域の測定では、スペアナのスパン設定が大きく影響します。
スパン設定が広いのではとの質問をしたところ、D/U 50dBは確保するようにとの当局の指導があるとのことでした。
JARDでの測定器借用時間は2時間なので、スペアナを使用して調整をしてはとの提案がありましたが、調整することにより他の項目の性能が崩れ、元に戻すことができなくなるリスクがあるので止めておきました。
各部の微妙な調整で成り立っている性能なので。
実は、内蔵エレキーの使用でも検査は有効とのアドバイスをいただき、キーイングスピードを最速にして検査を受け合格となりました。
これで、約1年要して対策した自作機のスプリアス対策が完了し、晴れてスプリアス確認保証を受けることができました。
スプリアス確認保証が完了
左側にあるのが、今回スプリアスジャジャ漏れで手こずった自作リグです。また、FT-817を親機とした1.2GトランスバータのUTV1200も簡単にスプリアス確認保証を受けることができました。
今回とスプリアス確認保証では、スプリアス対策について調整方法や回路方式など貴重なアドバイスをいただくことができ、JARDには大変感謝しております。
特にスプリアス測定時のスペアナディテクターモードを、Peakにすることは認識ありませんでした。
これからも自作機をどんどん持ち込んで、スプリアス確認保証を突破していきたいと思います。
自作10MHzBPF
これが自作10MHz BPFです。適当にトロイダルコイルにエナメル線を巻いただけですが、そこそこのF特となりました。