コイルの製作
給電部のコイルはすずメッキ線(φ1mm 10m長)を円筒形の缶に巻き付けて作りました。 コイルを缶から取り外ししたらピッチ間隔が2~3mmとなるように、焼き鳥の串を利用して整形します。 この整形作業がこのANT製作において最も苦労する点です。 コイルの整形が完了したら割りばしを使ってコイルの形状が保持されるように接着材で固定しました。 キャパシターは3C-2Vの同軸ケーブルを利用しました。 3C-2Vの静電容量は約70pF/mなので、これを適当な長さとなるように数本を並列に接続しています。 調整段階で短くカットしすぎた場合は、並列に接続を付け足します。
給電部の製作
1.9と3.5MHzの給電部をそれぞれ別に作りました。
当初は一つのコイルでタップ位置と同軸キャパシターをスイッチで切り替える方法で製作しましたが、干渉が発生したためこの様な形になりました。
バンド切り替えは給電側の同軸ケーブルHOTとANTワイヤーをバナナチップ端子を抜き差しすることで行っています。
給電部単体での共振周波数をデップメータで測定しながら、同軸キャパシターをカットしていきます。
また、コイルの巻き数も適当に作ったので、巻き過ぎの場合は適当な位置からタップを取り出して巻き数を調整します。
なお、エレメントワイヤーと組み合わせて総合的に調整するため、現時点では若干低めの周波数に調整しておきます。
3.5MHzトラップコイル
塩ビのパイプにIV線を巻き付けたコイルと、同軸キャパシターで3.5MHzのトラップコイルを製作します。 同軸キャパシターの編み線部分に水が入り込まないよう十分に防水処置を施しておきます。
ANT調整
まず初めに3.5MHzから共振周波数の調整を行います。
ANTアナライザーでSWRを確認しながら、ワイヤー長と給電部の同軸キャパシターをカットすることにより共振周波数を、そしてSWRは給電部同軸ケーブルのコイルタップ位置で調整します。
給電部同軸ケーブルのコイルタップにはミノ虫クリップを付けておき、調整完了後に半田付けすると良いでしょう。
3.5MHzの調整が完了したら1.9MHzの調整に取り掛かります。
1.9MHzも調整の要領は3.5MHzと同じです。
ただし、ワイヤーをカットするのは3.5MHzトラップ先端に付けたワイヤーです。
1.9MHzの場合は3.5MHzのトラップが延長コイルとして動作するので帯域幅が狭くなるのですが、何故か広帯域となり1.8MHz~1.9MHzまで低SWRとなりました。
使用感
地上高5~6m程度に設置しましたが、国内QSOには問題なく使用できます。 また、1.9MHzでは1.8MHzでもQRVすることができDXコンテストでUA0ともできたので、飛びはそこそこのようです。 ただし、バンドを切り替えを行うためにはベランダに出て給電部を手動で切り替える必要があるところが難点です。
給電点共振回路
<1.9MHz>
・コイル直径:8cm、長さ:16cm、ターン数:37
・給電部同軸ケーブルタップ位置:9ターン
・同軸キャパシター:3.5m(トータル)
<3.5MHz>
・コイル直径:5cm、長さ:12cm、ターン数:31
・給電部同軸ケーブルタップ位置:7ターン
・同軸キャパシター:1.9m(トータル)